チェルノブイリダークツーリズムガイド・第1部「観光する」
東浩紀編集『チェルノブイリダークツーリズムガイド』についての感想を書いていきます。
チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1
- 作者: 東浩紀,津田大介,開沼博,速水健朗,井出明,新津保建秀
- 出版社/メーカー: ゲンロン
- 発売日: 2013/07/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は福島第一原発を観光地化・ダークツーリズム化しようとしている東浩紀さんを始め、津田大介さん、開沼博さんなどが、その取材としてチェルノブイリに行ってきたときのまとめ本です。
で、第1部は「観光する」ということで、「ゾーン」*1の風景やチェルノブイリ博物館の様子をたくさんの写真を交えてレポートしています。まるで観光ガイドみたい。*2
僕が気になったのは、チェルノブイリ博物館のデザイン性です。写真を貼るわけにもいかないので拙い語彙で説明するしかないんですが、怖いんですよ。
メインホールと呼ばれる場所はロシア正教と原子炉のイメージを融合させた空間で、神秘的と言うか僕は怖いと思いました。*3教会の入り口みたいなところには原発マークがあって、その両脇には聖ガブリエル(?)の肖像と放射線防護服が飾ってあります。
内部にはゾーンで拾ったという木船、その中にはゾーンで拾ったぬいぐるみ、人形が沢山入れられています。そしてそれらを天井から青紫の照明が悲しみに彩る。
はっきり言って幽霊とか出てきそうだなと思いました。*4
そういった、感情に訴えかけるデザインを意図してつくった、というインタビューが載っています(p43~51)。要約すると、「無味乾燥な事実だけなら本や映画を見れば済むこと。博物館の役割は感情を喚起させて人々に考えさせること」といった感じです。
うーん、日本の感覚とは違う気がしますよね。でも確かに、本文で「ゾーン内で拾得した木船とぬいぐるみがまるで生け贄のように展示されている。」(p47)と書かれているように、物語性というか情緒性みたいなものが一番人間を考えさせるきっかけになりますよね。
第1部を読み終わって実際にチェルノブイリに行ってみたくなりました。*5でも親にそう言ってみたら「放射能が危ないから止めなさい!」と本気で止められました。
まあチェルノブイリの実態についてはこの本読めば分かるんですけれどね。