チェルノブイリダークツーリズムガイド・第2部「取材する」
第2部は、東浩紀、津田大介、開沼博さんによるインタビューや、それを踏まえた評論などが載っています。
僕が印象に残っているのはいくつもあるのですが、全体を通して「チェルノブイリは情報公開を頑張ってきた」ということを一番感じました。
6名のウクライナ人への、チェルノブイリ原発事故についてのインタビューが掲載されているのですが(p80~104)、皆さん「現物を見て、それで考えてほしい」という考えは一致していました。「安全が確保され次第、事故現場は訪問可能な状態にするべきです。」と言う方もいます。(p90)
で、このインタビューには、現在チェルノブイリにいる人たちが観光地化・ツアー化されていることについてどう思っているかが書かれています。
労働者は、観光は仕事の邪魔になるので、面倒だと思っているでしょう。観光は彼ら自身の仕事と無関係なので 、冷淡なことが多いです。
それに対して、ゾーン周辺の住民やサマショール*1はおおむねとても肯定的です。彼らは観光客が自分たちに関心を持ってくれていることが嬉しいし、客数が増えていく過程も目の当たりにしている。(p90)
こんな感じなんですね。
どうして彼らは他の人たちに見てもらいたいのか。その辺りを考えていたら、興味深いブログがありました。
先入観が洗い流される『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』 - 風観羽 情報空間を羽のように舞い本質を観る
これは、日本とウクライナの宗教性による思想の違いみたいなものについて論じています。とてもおもしろいので一読の価値があります。*2
そしてこの本を読んで一番考えさせられたのは、津田さんのこの言葉。
我々が本質的に戦わなければならない敵の名前――ヤツの名は「風化」だ。(p79)
現場のアーカイブを最優先でやっていかなくてはならない。そういう意味でのこの言葉です。
他にもいろいろ書きたいんですけど、今日は疲れたのでここでやめようと思います。*3
本当にこの本はたくさんの情報から、たくさんのことを考えさせる本なんです。ここまで言いたいことの5分の1も書けてません。完成するには、あと1カ月ぐらいかかりそう。*4
チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1
- 作者: 東浩紀,津田大介,開沼博,速水健朗,井出明,新津保建秀
- 出版社/メーカー: ゲンロン
- 発売日: 2013/07/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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みなさんにも是非読んでほしいと思います。というか、こんなブログ読んでる時間があったら早くポチった方が良いです。1400円ぐらいですから。まあ、最後に書いても意味ないんですけど。