研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

今日は早めに仕事を切り上げて酒と飯を食う

今日は早く帰ろう! と思ったのは昼休憩を終えた15時前のことだった。ここ数日タフなタスクが続いていて精神が摩耗気味だった。たまには仕事を適当に切り上げてしまおう。ということで、今日は19時前に退社した。いつもどおり汐留のファミマに入り酒のコーナーを見ると、ストロングゼロアセロラ味というのがあった。新商品だ。ここ最近僕はストロングゼロをここで買って飲んでから電車に乗ることにはまっており、昨日もストロングゼロを空きっ腹にぶちこんでいたわけだが、昨日はアセロラ味なんてなかった。気がする。では飲むかと思い一度は手に取るも棚に戻す。今日は早く仕事を終えたわけだし、こんな飲み方はやめだ。ちゃんとどこかで飯を食おう。


そういうわけで僕は御茶ノ水に降り立った。どこか入ったことのない店に入りたいので5分ほど散策するのだが、結局入ってみたい店というのは発見できず駅のほうに戻る。御茶ノ水駅前には会社の筆頭取引先(?)である日○○版○売のビルがあり、学生時代とは違ったいささかの緊張感をこの街は僕に与えはじめていた。そんなことを考えながら御茶ノ水ソラシティという地下街に降りた。ここにはカレー屋や中華料理屋などの飲食店と成城石井があり、昼時は人で賑わっているらしい。就活で大変だったころ、友達とこのソラシティで酒を飲んだことがある。僕たちは成城石井で珍しいビールとケーキを買いこんだ。早速乾杯をしようとするも、ビール瓶の栓を開けることができず、店員さんに開けてもらった。そして暖かな5月の日差しを浴びながら野外テーブルを囲み何がしかについて喋っていた。たぶん就活のことだったと思う。当時我々のなかで内定をまだ持っていなかったのは僕だけだった。


僕は成城石井で缶ビールとふた切れのケーキを買い、野外テーブルを確保した。1月の寒々しい空気に包まれながらビールを飲んだ。ケーキにはフォークが2本付いていた。僕はケーキを手づかみで食べた。続けざまにカレー屋に入ってカレーを食べた。辛さレベルを30にして頼んだ。念のためラッシーも注文したが、食べられない辛さではなかった。もちろんかなり辛かったと思う。だが意外といけるじゃんと気が緩んだ次の瞬間、香辛料が気管にタッチしてかなりのダメージを食らってしまった。結局ラッシーに頼って喉のリカバリを試み、完食に成功した。30辛となるともはや中本のような「辛さの向こうの旨味」のようなものさえ感じられず、ただ30辛を食べたという称号獲得の達成感だけが残った。


中央線で新宿へ。どこかでもう一杯飲みたいと思い、腹ごなしに歩いて代々木へ。駅前のHUBを覗くと、なかなか人が入っている。やめよう。といって、プロントやデニーズに入るのも違う気がした。というのも、今日は猛烈にエールビールが飲みたかったからだ。そこで以前から興味があったバーに入ることにした。代々木駅から電車で新宿へ行き、バーに入った。カウンターでパイントのキルケニーを飲む。結論から言うとここがうるさかった。第一にBGMがうるさい。第二に店員がうるさい。スマホに目を落としているのにぐいぐい話しかけてくる。店員と話すのはいいんだが今日はそういう気分で入ったわけではない。質問に対して一言二言だけ返してスマホを見続けると、店員もフェードアウトしていった。そこで思い出したのだが、こないだ会社で隣の先輩が話しかけてくれた。その前日に僕がある仕事で大変バタついており、その話を別の人経由で聞いて興味を持ってくれていたのだ。だがちょうどそのタイミングで僕は非常に忙しかった。というか、急を要する資料作成があり、それに意識を向ける必要があった。なので「どうなことがあったの?」という先輩に対して僕は「大したことじゃないっすよ」と返した。こうしてコミュニケーションの機会は閉じられた。このような機会の損失は会社に限らず遍在していた。

 

結局このバーには、キルケニーを飲み終わるまでの30分ぐらい滞在していた。そろそろ出ようかという時に客が入ってきたのだが、店内は満席だったため彼らはスタンディングで案内されていた。そのようなタイミングでの会計だったのでまるで気を利かせて出ていったかのような演出に図らずも成功した。人混みの中でイヤホンを耳にはめ込みながら、ああうるさい店だった、もう行かないと思った。ビールはうまかったが店員や店の雰囲気は微妙だ。せっかくビールはうまいのに……昨年ヘーゼルバーンという店を友人から紹介され、それから何度か行っていて大変よい店だったのだが、知らぬ間に閉店していた。だから今日はこの店に入ってしまった。ヘーゼルバーンの落ち着いた(?)雰囲気が本当に悔やまれる。お店の人たちは今何をしているんだろうか。


そんなところでこの文章を書く手を止め時刻を見るとまもなく0時。日付が変わる……変わった。この出来事があった昨日、1月16日は僕の誕生日だった。23歳になった。高校生の僕が23歳の僕と会ったらなかなか衝撃だろう。高校生の時、僕は23歳の人間というのは社会的に十分成熟しており、常識と大人の余裕を徐々に備えつつも若さに満ちた段階という理解をしていた。もちろんそれが間違った理解だという考え方もあるが、しかし今の僕というのは、僕が思っていた23歳像からは遠くかけ離れているように思う。映画とかでは、ラストで大人になった主人公がショーウインドウを見ると子供時代の自分の姿が写っている、みたいな演出があるけども、僕はもし昔の自分を見たらこんな情けない姿を昔の自分に見せたくなくて顔を覆ってしまいそうだ……などということを考えながら家でスコッチを舐める、23歳の1日目だった。