研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

雨の五反田はしご酒

きわめて個人的などうでもよい話です。じゃあ普段のエントリは客観的かつ重要な話なのかと問われればそんなことはないのですがね。

 

昨日は終日雨で空気がしっとりしておりました。午前中は家で映画を見たりしてダラダラしていた。無駄に早起きしたせいで眠気が取れず、映画を途中で止めて寝て、起きて続きを見て、ということをしていた。

 

昼過ぎに傘を持って外に出た。思い出したのだが、僕はかつて雨になみなみならぬ情を寄せていた。雨を愛していた。新海誠の「言の葉の庭」が大好きだった。世間では雨は悪者として扱われている。「お天気が悪い」とかいう。でも僕にとっては、雨は人間を等しくダウナーにさせる天の薬物みたいなもんですごく心地よかった。雨の日は無理にテンションを上げたりしなくていい。雨は素の僕を肯定してくれた。……とかなんとか、ポエミィなことばかり考えていた。雨をテーマにした小説を大学時代、何本か書いた。

 

大学を卒業してから、雨は面倒なものになった。会社に行くのがだるくなるし、電車内はつるつる滑る。鞄を手に持たなければならないので、傘を差すと両手がふさがる。とにかく面倒だ。そういうわけで過去自分が雨に対して抱いていた感情は薄れてしまった。

 

大学時代、無駄に雨の日の新宿御苑を散歩しまくっていたころを思い出しながら、雨の日の五反田を歩いた。雨が降るだけで街の雰囲気は一変していた。鈍色に染まった空気は重々しく、往来も心なしか控えめだ。木々の葉は水を含んでしな垂れている。数少ない通行人も傘に覆われているせいかうつむきがちだ。

 

こんな天気のときの酒場はしっとりしているだろうーーそういうわけでいよいよ五反田の店を開拓しようという気になった。これまでいろんな店の軒先を通り、その度入る勇気が出ず、通り過ぎてきた。でもこの雨の日なら、雨の力を借りれば……そんな気持ちで入ったのが82real aleだった(え)。

 

ちょっと、さすがに、いわゆる居酒屋に入る勇気が出なかった。それでとりあえずチェーン店でビールを一杯飲んで、勢いづこうと思った。この82、普段はどういう雰囲気なのか知らないが、この日はしっとり静かで居心地がよかった。こないだ見た「万引き家族」のレビューをフィルマークスに書きながら、タバコを3本吸ったところでパイントを飲み終え、店を後にする。

 

つぎに入ったのが家の近所のやきとん屋だった。ここがダメだった。客が騒々しいのは仕方がないのだが、店員まで騒々しい。焼き鳥はオーダーしてから体感10分後に提供された。遅い。塩で頼んだのだが全然塩っけがない。卓上には塩はない。ビールはスーパードライ。何もかもダメだと思った。一杯だけ飲んで退店。

 

そして入ったのが、その店のはす向かいにある店だった。以前から通りがかるたびに盛況で気になっていた店。調べると、食べログの評価がたいへん高い。勇気を出して入ってみた。結論から言うと、ここがたいへん素晴らしかった。ビールは黒ラベル。串の提供もスピーディ。なにより、看板メニュー(そんなに主張するメニューではないのだが、食べログでいろんな人からおススメされていた)の牛すじトマト煮込み。これがやばかった。感動した。思わず写真を撮ってしまった。

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食べさし、かつ、なぜか画像が横を向いているのだが、牛すじの「つや」とトマト仕込みのつゆを見てほしい。完璧すぎるほどに完璧である。口内に幸せが広がっていった。皿と店の雰囲気が大衆居酒屋なだけで、これがちゃんとしたイタリアンレストランで出されても全く違和感がない。ハーフサイズもあったのだが、ハーフにする必要なし。というかこの一皿でも足りん。酒が進むかというと、うーんむしろ白飯の方が進む気もするが、とにかくうまい。これはたしかにオススメしたくなる。そういうわけでシャッターを切った。

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これはアジフライ。尻尾のついた開きの形状ではなく、すでにカットされている。うまい。特筆することはない。ふつうにアジフライが好きなので頼んだ。

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串。レバー、ひも、カシラ。頼んだらすぐ出てきた。塩っけが強い。酒が進むタイプの味付けだ。デフォでからしが付いてくるのだが焼き鳥にからしという取り合わせがよくわからなかった。いずれにせようまい。

といったところで時間になり、会計を出された。店員が忙しそうだったので机の横にお金を置いておいたら、手の空いた店員が取りに来てくれた。なんか嫌な感じの会計方法だったかな。だとしたら申し訳ない。

 

傘をさして外に出る。まだまだ降っている。昨日とは打って変わって冷たさがしみる気温。でも煮込みと酒で温まった体にはちょうどよかった。店から徒歩1分の自宅に帰る。ベランダから雨どいのピチャピチャという音が聞こえてくる。心の内側をすすいでくれる音だ。今夜は雨音でいい夢を。……とか、大学時代の俺でも言わなかっただろうよ、そんなポエミィなことは。