研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

2018年渋谷ハロウィンで僕は無力感に押しつぶされた。

2018/10/31(水)、渋谷に行ってきました。買ったばかりの一眼レフを提げて。ハロウィンの夜に渋谷に行くのは2回目です。
まず山手線で渋谷駅に向かう途中、「ハロウィンのためハチ公前が大変混雑しております」というアナウンスが。言われなくてもわかっていたのでマークシティの方へ。改札を抜けたすぐそこには仮装した人々が。写真撮影もそこかしこで行われていました。ですがマークシティで驚いたのは、スクランブル交差点を見ようとしている人々と、スクランブル交差点の人だかりのヤバさでした。

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この人混み、日本人率50%以下なんじゃないかというぐらい外国人が多かったです。

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人混みをかき分け窓のそとを見ると、人が大変な密度で集合しており、虫のようでした。

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警察が誘導線を張っており、見かけ上はスムーズに交通が行われていたのが印象的でした。あの群衆の統御には大変な労力を要するでしょう。しかし当然といえば当然ですが、信号が赤になっても通行が終わることはなく、結局歩行者が対岸に渡りきる頃には赤信号ゲージが残り2本、というような事象が繰り返されていました。
 
マークシティから地上に降りるのは怖いので、道玄坂上から下山していくルートをとりました。

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当然、客引きも仮装しているわけです。
百件店の奥に足を踏み入れる勇気はなかった。心なしか普段よりもいっそう妖しい雰囲気があります。妖気が吐き出されている。

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人多すぎ。

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暗くて見づらいですが、ルイージが搬送されていました。

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道の端ではタバコを吸ってる人多数。

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スクランブル交差点が見えはじめる。今年はコスプレしてない人が多いですね。まあぼくのことですが。ここ数年メディアで取り上げられることもあり、物見遊山で来る人が多い印象です。

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スクランブル交差点まで降りていったのですが、センター街入り口はとんでもないことになっていたので迂回。

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よく通る高い声のポリスが滑舌良くなめらかに「109方面に向かってください! 止まらないでください 」とたえず叫んでいたのが印象的でした。

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で、109方面に向かうのだが、その途中ではじめてコスプレの女の子を撮影することに成功しました。女の子に声をかける勇気がなさすぎて情けなさに押しつぶされそうだったのですが、その女の子二人組は、僕が(あの、撮影いいですか)みたいなジェスチャーをしてカメラを向けるとカメラ目線でピースをしてくれ、とってもうれしかったです。顔がばっちり写ってるので載せませんが……この後もかわいいコスプレを多数目撃し、この一眼レフに収めたいと思いつつも、声をかける勇気がまったく出ず、結局まともに撮影できたのはこのみずほ銀行前の二人組の女の子だけだったのでした。

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文化村通り。歩けないほどというわけではないですが、やはり人は多く、ここを歩いている時が一番スリリングだったように思います。露出の高いコスプレも散見され(しかもモデルさんのような容姿)、目移りしてしまいました。僕はたんにこの渋谷の狂乱を外部からウォッチする観察者として自らを派遣したのですが、しかしそのような女性の姿を撮影したいという思いがなかったといえばウソになる。「あわよくば」的な卑しい欲望もありました。この通りを歩いているなかで、ぼくは少しずつその欲望が街ウォッチという理性的な目的を侵食しつつあると、感じていました。しかし先ほど述べた通りぼくには声かけの勇気がありません。それゆえ美人コスプレイヤーを目にするたび、己の圧倒的な情けなさに苛まれ、不必要な自己批判に追い込む負のフィードバックがたえず行われていたのです。私は文化村通りを一歩一歩歩きながら、無力感を肥大化させていました。

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ゴミを発見すると「ゴミだゴミだ〜」と駆けつけるギャルの集団がいました。2時間ほどの滞在で3回ほど目撃しました。

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ドンキからはコスプレをする人々が吐き出されていました。

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2年前に行った時はハーレイクインの仮装をしている人が多く、流行ってるなあ(スーサイドスクワッドはつまんなかったけど)と思ったものですが、今年はそのような、その年を象徴するコスプレはなかったですね。強いて言えばポリスのコスプレが多かった。体制の戯画化、権力の撹乱。

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この辺から動画撮影の方が多くなったので写真は少ないのですが、基本的な出来事としては、かわいいコスプレ発見→声かける勇気でず→目に焼き付けようとする、という、大変残念なローテーションです。人混みを記録する風を装ってパシャってしたりもしましたが、虚しくなったのでやめました。むろんデータも消しています。盗撮の誹りを受けても反論できません。すみませんでした。でも一人、カメラを向けたらにっこピースしてくれた人がいたのでその人の写真だけは取っています。魔女の仮装をしている人で、まさにハロウィン!  最高の笑顔でした。

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「この通りちょっと弱くね?」と言っている男性がいて、(これで弱いってどういうことや……)と思いました。というわけですしざんまいとかがあるあの小径からセンター街に足を踏み入れるのですが、その前に、東急前でフリースタイルラップをしている男性がいて彼がなかなかアツかったということを申し伝え加えさせていただきます。思わず首でリズムとって「イエー」とか応答しちゃった。ラッパーの男性と目で「いいねえ」と意思疎通して、なんかパーティって感じだったな、あの瞬間は。
 
ゾゾスーツコスプレの男性。

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この辺で、リラックマコスプレをした小柄な女性を胴上げするスーツ姿の男性グループがいました。女性は解放されたのち、怯えた顔をして友人と思しきリラックマの女性のもとへ走り去りました。あれは明らかに痴漢行為でした。スーツの男性グループはガハハハと高らかに下卑た笑いを放っていました。このシーンはぼくの目にはかなりセンセーショナルに映りました。渋谷のハロウィンは明らかに劣化していました。

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センター街はとにかく芋洗状態で歩行すらままなりません。一体何を目的にこんなところに来てんだ、と自分に突っ込みました。つまり、これがコミケなら、目的があるからいいんですよ。しかし渋ハロはゴールとかないわけでしょ。だから人が多すぎて身動きが取れないというのは意味不明なんです。回遊できないじゃないですか(帰ってから思ったんですけど、青山方面とか奥渋とか松濤方面はどんな感じだったんですかね)。
 

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一本路地に入るとそこはタバコの巣窟。この世の地獄。吸い殻捨て放題。今でこそタバコはやめたので嫌悪感しかないですが、吸ってた頃だったら一緒に吸ってたかもしれないな。

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1ショット500円という法外な価格。需要と供給。てかこれショット半分ぐらいしか入ってねーぞ!
センター街はほんとに人が多くてうんざりします。上に手を伸ばして動画を撮っていたら後ろにいる二人組が「お前もカメラ持ってくりゃよかったじゃん」「いやこんな場所で一眼使うのは興ざめだろ」。悪かったな興ざめで。
あとはセンター街の井の頭通りのY字路付近で「ウェーイ!」と女性に接近して自撮り、すかさず「ラインのQRコード見せて? 送るよ? 」と畳み掛ける””模範解答””を目撃した。
再び109付近へ。

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そうか、平成最後のハロウィンなんだな。

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最後はまた道玄坂の方に行きました。やっぱりぼくは渋谷のなかでは道玄坂が好きだな。高低差がよい。

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ガオー。こういう空気パンパン系仮装はわりといました。

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そんな感じですね。結局最後まで人に声をかけることはできませんでした。ほんと情けない。今回ぼくが渋谷のハロウィンから持ち帰ったものといえば無力感のみですよ。というわけで五反田に帰ってサイゼリヤで酒を飲んでいたのですが、
 
なんでナンパに失敗した男みたいになってるの?  俺。もともとは都市論に興味があり、若者の自然発生的な祝祭化、組織によりお膳立てされたお行儀のいいお仕着せの「お祭り」ではない「祭り」の意義、セレモニーからカーニバルへ、ハレとケ、「広場」とデモクラシーの関係とその国際比較、発生の経緯、なぜそれは渋谷でなければならなかったのか等のクエスチョンがぼくのなかにあり、ぼくなりにそれを考えるのがここ数年の1つのテーマだった。
それがなに、コスプレ美人、いやたんにコスプレをした美人に声をかけられないからってくよくよしてんだよ。お前はどこを見てんだ。もっと別のところにリソースを割け。IQ低下しすぎだろ等の自己批判を丹念に行い白ワインを呷った。2年前にぼくはブログを書いていた。
「ハロウィンの渋谷を見物した感想」
2年前、大学4年生21歳のぼくはそれなりになにか考えていた。しかしこれが一体どうだ。ぼくは反省した。多分来年は、渋谷以外の街に行く。渋谷ではない、オルタナティブな「日本式ハロウィン」の萌芽を探しにいくのだ。