研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

蔵前のカフェ巡り/雨の平日

10月6日(木)。天気は雨。急に寒くなった。昨日までは冷房をつけるぐらい暖かかったのに、今日はもう気温も12℃とかまで下がった。シャツ一枚で外に出たけど寒かった。深緑をたたえていた木々が葉を落としはじめ、細く乾いた枝ぶりを露出させていた。生命がゆっくりと停止に向かっている予感がした。

今日と明日は有給を取っているのだがとくに旅行に行く予定もない。土日だと混み合っているカフェにでも行ってみようと思った。

まずは蔵前のフェブラリーカフェ。

10時過ぎに行った。狭い店。お客はカップルが一組とおじさんが一人でわりと空いていた。雨という天候のせいでもあるのだろう。プリンとホットコーヒー。壁際のカウンター席に座った。一輪挿しが綺麗だったので。

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プリンがむっちりしていて美味しかった。しばらく本を読んでいると、一人客やベビーカーを引いた夫婦なども来て賑わった。1時間制と決められているので、11時10分ぐらいに出た。

 

大江戸線に乗って森下に来た。で、割烹料理・みや古に行った。

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色気のある店構え。こないだ土曜日の昼過ぎに行ったら外に列ができていたのですごい人気店なんだろうと思う。でも入ってみるとガラガラで、50人ぐらい座れそうな大広間の座敷席に一人客が2名と3人組が1組いるだけだった。みなわりとお年を召している方だった。建物は木造で、料亭らしく天井が高い。BGMなどもなく静かだった。3人組の人の話し声が完璧に聞こえる静かさだった。

深川めしが有名なお店。2700円ぐらいする深川めしと天ぷらのセットを注文した。写真は撮ってない。シャッター音も大きいし、そんな野暮なことするのも憚られるような時空だった(そんな敷居の高い高級な場所ってわけじゃないんだろうけど)。

深川めしは、あさりを使った炊き込みご飯みたいなやつ。昔、今の江東区で埋め立てが行われる前、ここらへんは東京湾に面していて深川浦と呼ばれる海岸があった。そこで採れるあさりを使った郷土料理として深川めしは親しまれていたという。食べてみたらわりとあっさりした味だった。たぶんかつては肉体労働者が塩分を摂るためにしょっぱめにつくられてたんじゃないかと想像する。天ぷらは軽くてさっくさくだった。

食べ終わり、冷めたお茶を飲む。僕以外のお客さんは料理を食べ終わって消えていた。窓の外に目をやる。雨はまだ止まないようだった。窓の横の棚に「モヤモヤさまぁ〜ず」の色紙が飾られていた。広い座敷席に人の声はなかった。お茶を飲みながら静寂を聞いていた。変化のない窓際と、天井と、座敷を見つめていた。床下から伝わる冷たさが来店時より増してきたような気がした。

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お店のお年を召した女性が「お茶いかがですか?」とおかわりを注いでくれた。「急にお寒くなりましたですね」。僕は「ほんとですよね、急にね」と言った。お茶が温かった。

 

家に帰って細々したタスクを終え、また蔵前に行った。茶室・小雨。

小雨というには雨量の多い日だが、うってつけなチョイスかなと。しかし分かりにくいお店だった。看板は出ていないし、入口のドアも一見ただの壁に見える。で、隣のガラス越しには席でケーキをつつく人たちが見えるから、一体この人たちはどこから入ってるんだ? と少し戸惑った。

なかなかおしゃれなカフェだった。高い天井からハーシーズチョコレートみたいな形の照明が吊るされていた。2人用テーブルが10個ぐらいあって、8個埋まっていた。カウンター席もあったが、「ご自由にお座りください」と案内されたので、4人掛けのテーブル席に座った。

お客さんはほぼ女性。1人できてる男性も2人いたが、2人できてる男性はいなかった。こういう非対称性には少し考えを巡らせてしまう。女性は2人でお茶をするけど、男性はしない。それはなぜか。3人ならいける。2人で居酒屋やドトールもいける。でも2人でおしゃれな喫茶店には……という心理。

何かのケーキ(名前失念)とPALISというブレンドの紅茶を頼んだ。この紅茶、すごく香りが良かった。ルピシアの「ゆめ」を薄くして甘さを足したような…すごくいい香りだった。また飲みたい。

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最初は撮影するつもりなかったのだが、食器がきれいでよかったので気になってしまい記録のために食後にササッと撮った。とくにフォークが良くないですか? 柄が長くて、エッジがラウンドしてるのが上品な感じ。色も鈍いゴールドって感じでとてもよい。ほしい。なんてブランドなんだろう?

お店を出たら雨が上がっていた。小雨を通り過ぎたか。空がピンク色のグラデーションを作っていた。

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歩いて最後のカフェへ。蔵前というより最寄りは田原町駅か。from afar。

雑居ビルが立ち並ぶ灰色の路地に突然現れたおしゃれなカフェ。なかなか広い。小学校の教室3個分ぐらい。そのうち1個分はガラスのパーテーションで半個室的に区切られており、奥にはソファ席などもあった。教室2個分のメインフロアには、中央にロの字形のアイランドキッチンがあり、それを取り囲むようにしてテーブル席が配置されていた。僕は窓際の席に座った。コーヒーと、お店の名物というぶどうゼリー。

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紫色かと思ったら白ぶどうだった。上の白い層はクリーム。ただの甘いやつではなく、洋酒の風味も感じた(ような気がする)。ゼリーの中には半分こにされた白ぶどうがいくつも入っていて、これがとってもみずみずしくて甘くておいしかった。歯を入れるとプチッと弾ける。切られているのに丸ごと口にしたような弾力があった。これ、なんて表現したらいいんだろうな。適切にボイルされたシャウエッセン? …もっといい例えがある気がする。

閉店の19時まで本を読んでいた。今日3つのカフェに行ったが、ここが一番広々としていて落ち着くことができた。いいところを見つけた。でも土日は混むんだろうな。雨の平日の楽しみだったのかもしれない。