さすがにヤバいと思い、都内のドーミーインに泊まった。土曜日から2連泊してる。いろいろ快適なホテルだ。
なにがヤバいのか。平日にやることいっぱいすぎて疲れが取れない、というのがまず端的に言える。やることが氾濫してる。とはいえ、朝から夜までずっと手を動かしていると言う感じでもない。
というか、そういう、手を動かす気力も全然ないのがこの1週間の状態だった。手を動かす、すなわちオペレーションをする以前に、頭を動かす、つまりディレクションをやらなきゃいけないのだが、ほかに抱えてるもの多すぎて、持ち前の脳内多動が発動し、気が散って集中できず……
いや違うな、そんなことよりもただひたすらに体力と気力がなかった。もう限界だよ、というのを月曜日の夕方から感じていた。土日でまったくリフレッシュできていなかった。
夏休み取れてない。みんなが休んでるのに自分だけ朝から夜まで会社にいる。自分の案件もいろいろ進めたいのに、チーム全体の案件をやらなきゃいけなかったりする。自分のことに集中できなくてもどかしい。
体は大丈夫だと思ってたんだけど、先週から胃の調子がおかしくなった。医者にいって、とりあえず様子見のための薬をもらった。それから酒を飲んでない。カフェインもなるべく取ってない。胃の負担を避けるためだ。食べ物は、脂っこいものと辛いものを避けている。よく噛んで食べるようにしている。
で、休日もいつも通りに過ごしていてはダメだと思い、思い切って自分を別の場所に隔離することにした。というわけでドーミーインに来てるわけだけど、いいですね。サウナのあとに外気浴スペースで寝るわけだけど、首振り扇風機の風が自分に当たった時のとんでもなく気持ちいいこと!
で、今日は部屋で、Amazonプライムビデオで映画「PERFECT DAYS」を見た。トイレの清掃員をする年嵩の男性が変わり映えのしない日常を送る映画。主演の役所広司はこの作品で2023年のカンヌ国際映画祭で男優賞を取った。
舞台は東京なのだが、光が美しい映画だった。主人公が住んでる家の観葉植物の部屋のライトとか、隅田川を渡る時に見えるスカイツリーとか、背景で街の光がボケて写っているのとか。絵作りが素敵だった。というのをまず最初に書いておくとして、
この映画が、すごく今の自分に示唆をもたらしたような気がした。
主人公はさっきも言ったように変わり映えのしない日常を過ごしている。同じ時間に目を冷まし、歯磨きをし、髭を整え、植物に水をやり、同じ缶コーヒーを飲み、トイレ清掃の仕事をし、公園でサンドイッチを食べ、銭湯に行き、浅草の店で一杯やり、文庫本を読んで寝る。というルーティーンが決まっているのだが、そうした日常の中で、人との「小さな関わり」を大切によろこんでいる。
たとえば職場の若い後輩が友達と戯れているのを見て、笑顔になる。銭湯で、常連のおじいさんに笑顔で会釈をする。みたいな、そういう小さいところで笑みが湧き上がってきている。小さいところで、人との関わりを楽しんでいる。幸せに転換している。
それを見て、この人は人生をよく噛んで味わっているなと思ったんです。
ここ数週間、YouTubeのショート動画を見る時間がすごく増えた気がする。ショート動画じゃなくても、横型動画もそう。本当は本を読んだり、映画を見たりしたいのに、その気力が出ないからそうなってしまっている。
でも、ショート動画じゃ満たされない自分がいる。その満たされなさを埋めるために、ショート動画を見る。どんどんスワイプしていって、どんどん再生していく。刺激は増えるのに心は満たされない。電磁的刺激の量に、心が消化不良を起こして「もたれて」いく。
忙しさゆえに晩酌が常習化していた。仕事に追われて時間が惜しくて、急いで食べていた。だから胃がもたれた。
本当は、もっとよく噛んで味わうべきなんです。本や映画を。日々の食事を。
違う話だろと思うかもしれないけど、同じことなんです。「パーフェクトデイズ」を見てそう思った。
この映画で、主人公は人生をよく噛んで味わっていた。俺は全然、噛んでなくないか?
最近、「自分が都会が好きなのは、楽しむ力が弱いから」という話を彼女とした。都会よりも郊外とか田舎のほうが好きって言う人いるじゃないですか。僕は都会が好き。なんでかっていうと、飽き性だから。いろんな人がいて、店があって、施設がある都会ならば、ちょっと外に出るだけでいろんな刺激に触れることができる。
でもそれは刺激が好きっていうか、単に、自分で楽しむ力が弱いだけなんですよね。自分1人で楽しむ工夫ができないから、外部の刺激に依存してしまう。都会的な刺激の外部装置に寄っかかってるわけです。
今更ながらドラマ「ホットスポット」を見た時も同じことを感じた。主人公たちは静岡のある街に暮らしてるんですが、自分はこういうのどかな街だと退屈すぎて生きていけないだろうなーと思った。ずっと地元の友達といきつけの喫茶店とジョナサンでおしゃべりするだけなんて、退屈で耐えられないだろうなと。そしたら彼女は、ぜんぜんこういうのが大丈夫なんだと。むしろ東京よりいいなーと。
人生を楽しむ力がすごい。
素直にそう思った。自分はたぶん真似できない。
で、パーフェクトデイズの主人公もそういう感じなんですよね。
だからもっとよく噛んで生きないといけない、と思ったんです。