2023年、いろんなベスト3をまとめたぜ! 見ていってくれよな!
【買ってよかったもの部門】
3位 Jins Combination Titanium UUF-22A-124
2位 無印 超高密度ポケットコイルマットレス セミダブル
1位 M1 Macbook Air
3位の眼鏡は、普段仕事でかけているもの。ここ3、4年、いや、5、6年ぐらい、自分に似合う眼鏡がわからなくてずっと迷走していた。で、やっとこれならいいなというものを見つけられた。眼鏡って一日中装着するし、顔の印象を左右するものなので、影響も大きいと思い、ランクイン。
2位のマットレスは、睡眠の質を大きく上げてくれたと思う。いままでスプリングの強度が低くて腰の部分が凹んだマットレスで寝ていたので、毎朝腰が痛くて不満を抱えていた。だから家で寝るのが嫌だったのだが、今は家で寝るのに何の問題もない。シングルからセミダブルにしたのも大きいと思う。もうシングルで寝るのは……嫌だ。
1位はMacBook Air。初Mac。Adobeのデザインソフトを使えるようになりたくて買った。メモリ16GB、SSD512GBのカスタマイズモデル。仕事でガンガン使ってます。なくてはならない道具になっちゃってますね。
【映画部門】
3位 THE FIRST SLAM DUNK
2位 BLUE GIANT
1位 CODA あいのうた
3位の「THE FIRST SLAM DUNK」は、有名な最後の数分間、あまりにすごすぎてのけぞっていた。目を見開いたまま映画館の背もたれに食い込んでた。そんな衝撃があった。
2位の「BLUE GIANT」は、原作の、絵だけで音を表現するという挑戦に真っ向から挑むわけで、ファンの要求水準は高かったと思われるのだが、少なくともジャズを知らない僕からするとすごくよかった。場のグルーヴというか、即興のノリがノリを生み出して行く情熱のフィードバックループが感じられる音楽だった。
1位の「CODA」は、2022年のアカデミー賞作品賞などを受賞した映画だが、正月に見たら、すばらしすぎて泣いてしまった。言葉ではない感覚で世界を把握する家族と関わりをもちながら、外の世界とのはざまで生きる主人公の戸惑いと成長にほんとうに、つよく、あこがれた。あこがれたっていうのは今書きながら出てきた言葉なので自分自身そう思っていたのかと驚くのだが、たぶん、あの時僕が涙を流すぐらい感動したのはそういうことなんだと思う。自分もあんなふうに人と交流したい、と。
【小説部門】
3位 女のいない男たち 村上春樹
2位 君が手にするはずだった黄金について 小川哲
1位 いい子のあくび 高瀬隼子
3位『女のいない男たち』は、映画「ドライブ・マイ・カー」の撮影地が目当ての旅行に行く前に、読んだ。短編集なのだが、「木野」の終盤がよかった。小松左京の「ゴルディアスの結び目」みたいな、内面世界の描写がすごいです。
2位『君が手にするはずだった黄金について』も短編集で、サクッと読めるのだが、作者の日常事象に対する洞察が深いな、と思うものばかりだった。主人公は「小川」なのだが、なるべく正確な真実を口にしなくてはならないという本人の真面目な性格と、とはいえ小説家だから積極的に嘘をつくのも仕事だという考えがバッティングする難しさを描いていて、おもしろかった。
1位『いい子のあくび』は、以前ブログで書いた。
【ノンフィクション本部門】
3位 母という呪縛 娘という牢獄
2位 キーエンス解剖
1位 ある行旅死亡人の物語
3位『母という呪縛 娘という牢獄』は、医学部9浪の末、母親を殺害した女性を取材した通信社の記者による本。ほとんど娘のほうが被害者なんじゃないかというほどの、母親のマインドコントロールぶりに嫌な気持ちになった。タイトルの下の句のほう、すごいな。編集者がつけたのかわからないけれど、内容を象徴していると思った。
2位『キーエンス解剖』は、平均年収2200万、営業利益率55%のキーエンスを取材した日経BPの記者の本。現役の社員や会社の取材はあんまりできなかったようで、OBの話が多いのだが、それでも内実を知れて勉強になった。仕組み化、システム化でここまでいくのかと。合理化、効率化。まあ、そのかわり監視や管理が強いので自分はここで働きたいとは思わないけど。頭も良くて体力と気力もある人が集まるところなんだと思った。
1位『ある行旅死亡人の物語』はブログで書いた。
この本の著者は共同通信の記者。『母という呪縛 娘という牢獄』の著者も元共同通信。2位『キーエンス解剖』は日経BPの記者。今年は記者の文章をよく読んだな〜。
【音楽部門】
3位 Super Shy NewJeans
2位 都合 君島大空
1位 Two Kites STUTS
3位・NewJeansは、4月にツイッターで坂口恭平が「Cookie」をカバーしているのを見て知った。で、7月にSuper Shyがリリースされたときに、既存曲も聴きあさった。なんだろう、自然体な音楽ですよね。すごい盛り上がる曲ってわけでもない、だけど心地いい。ローファイっていう感じでもない。そういう微妙なコンセプトでこれだけ成功してるのはすごいことだなと。
2位・君島大空は、数年前に先輩におすすめされて聴いていたのだが、今年ゴールデンウィークに初めてライブを観に行った。その時によく聴いていたのが「都合」だった。2023年の曲ではないかつライブではやらなかった曲だけど……歌詞が当時の自分に突き刺さっていたので。
1位・STUTSは、6月に武道館のライブ行ってきたんですが、めちゃくちゃ楽しかったんですよね……マスクなしで声も自由に出せるライブが久しぶりだったということもあったかもしれない。で、9月にリリースされた「Two Kites」は凧みたいに空を漂ってる気分になれる穏やかなトラック。心を沈めるために何回も聴いていた。インスト版もおすすめ。
【短歌部門】
3位
おんなというもの野放しにして生きるには多すぎる爆撃機 菊竹胡乃美
2位
氷結と花火を買ってきみと行く道のすべてが夏の往路だ toron*
1位
DMにダブルタップでハートだけ 喉が乾けば水を飲むだけ 青松輝
3位は、秋田に旅行に行った時、帰りがけにジュンク堂で見かけて買った歌集の一番最初の歌。新幹線で読んで、へえと思った。女性として生きる大変さを題材にしたものが多かった。
2位は、書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズの「イマジナシオン」から。 2022年の歌集なんですが、かなり良かったです。ストレートでさわやかなたとえ。世界の純粋な部分を見出す目と、その中心を射抜く正確さがある……ってなんかよく分からない表現だけど、この人は人生とか世界に対して根源的に肯定的なまなざしを送っているのだろうなあ、というのが感じ取られるような、そういう歌集でした。
1位はユーチューブで「ベテランち」として活動している人の歌集。詩情のある歌が多くて、いわゆるわかりやすい歌集ではない。でも、頭で理解しようとしなくても、良さは感じることができる。言葉から辞書的な意味を剥奪して、イメージとか音のタグだけが残った世界で要素をつなぎあわせた……つまりそれが詩ということなんだろうけど。その中でもこれは、上の句でインスタント化するコミュニケーションを表し、下の句でその軽薄さ(と、それによる切なさ?)をリズミカルにたたみかける感じがずっと頭に残っている。
【美術展部門】
3位 月に吠えよ、萩原朔太郎展 世田谷文学館
2位 TeNQ×『チ。-地球の運動について-』展 宇宙ミュージアムTeNQ
1位 山田かまち美術館 常設展
3位の萩原朔太郎展は、そもそも彼の詩などの仕事はぜんぜん知らなかったのだが、文字が綺麗なタイポグラフィででっかく印刷された展示が単純に見た目に美しく、いい鑑賞だった。彼の作品をベースにしたからくり人形劇みたいなセットをつくるムットーニという作家がいるのだが、その人の展示がかなりおもしろかった。映画でも演劇でもない表現というか。
2位は東京ドームシティに存在していた「宇宙ミュージアムTeNQ」内の企画展*1。『チ。』は地動説に取り憑かれた人々の、強迫観念めいた執着がすごい漫画。「僕の直観は、地動説を信じたい!」などのセリフが大きく描かれたボードがあったり、もちろん原画が展示されたり。もっともすばらしかったのは、作者の魚豊さんの書き下ろしイラストと、それに寄せたコメント。「コマ割り」と「目」をテーマに描いたというその理由について、明晰な文体で、ハッとさせられる洞察に溢れた文章だった。
1位の山田かまち美術館は群馬県高崎市にある。かまちは1960年生まれで、17歳の時にエレキギターで感電死したという人。死後、部屋から大量の詩と絵が発見されて、美術館が建てられるまでに至った。展示作は当然、すべて17歳までの間に作られたもの。思春期のもてあますようなエネルギーとか苦しみとか、それゆえのみずみずしさとか、そういう奔流がそのまま言葉やビジュアルになっていた。初期衝動が真空パックされてアートになっていた。「荒削りだがいいものを感じる」の本物。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、僕はこの展示を見て感動した。本当に。
【行って良かった場所部門】
3位 徳川園 名古屋
2位 一乗寺 京都
1位 中之島 大阪
3位の徳川園は、11月に行った。名古屋からバスで15分ぐらいのところ。美術館に併設された庭園で、1週間後から紅葉のライトアップが始まる、というタイミングだった。スマホに来たメッセージを読んで、池のほとりに座ってボーッと夕暮れを見ていた。
2位の一乗寺は、2月に行った。ラーメン屋が多いことで有名なところ。観光地ではない。京都、山に囲まれていて、唯一無二だよなあ。こういうところに暮らす人もいるわけだ。
1位の中之島は、2月と11月に、出張で行った。南北を河川に挟まれ、その河川を挟むように高層ビルが林立している。ニューヨークのようなエネルギッシュな見た目だ。経済があふれている。その景観が本当にすばらしくてうっとりしちゃう。日本にこんな場所があるんだ、と感動しました。今まで何度も大阪行ったことあるのに何してたんだ。大阪府立中之島図書など、レトロな建築がいくつかあるのも本当にいい。
【グルメ部門】
3位 キュイボンヌ 茅場町
2位 ジャパニーズ スパイス カリー ワッカ 八丁堀
1位 麺屋 周郷 新橋
1位のキュイボンヌは、卵トマト炒めがおいしい欧風カレー。汐留のチャオカリーとか三田のコロンブスとかと似てる。でもなぜか、ここはとくに美味しかった記憶がある。バターの香りが良かったのかも。
2位のワッカは食器がいい。青いお皿が綺麗。お店特注のスプーンが手にフィットするし掬いやすいし結構感動します。マトンキーマカレーを食べたのですが、かつお節がかかっていて、意外な組み合わせがおいしかった。
1位の周郷は新橋でいつも行列ができているつけ麺屋。並んだ甲斐はあった。麺もチャーシューもスープもしっかりレベルが高い。スープ割りは絶対頼んでください。薬味3点セットがついて、パイタンスープみたいなまろやかな味で〆られます。
振り返って
こう振り返ると、マンガを読んでないことに気づく。読みたいとは常々思ってるんですけど。映画は、今年は映画館にほとんど行ってないのですが、第1四半期に良作を3本観ることができてよかった。
あ、そうだ、今年はドラマをわりと見たんですよね。「大豆田とわ子と3人の元夫」「カルテット」「ブラッシュアップライフ」「silent」とか……有名どころは押さえておきたいなと。どれも話題になるだけの理由がわかった気がしました。
あと恋愛リアリティ番組を色々見たのも今年の特徴ですかね。「脱出おひとり島2」は1に続いて魅力的な参加者がいて良かったし、「バチェラー5」はリアルタイムでツイッターの考察も楽しめたし、「ラブ・トランジット」は別れた元カップル5組混ぜて恋愛させるという設定がうまかった。
こうして振り返ると、わりといろいろ摂取してきたかもしれない。小説を読むようにもなった。摂取だけじゃなくて、短歌は自分で作ったりもしましたね。ライブも3本行った。いい年だったかもしれないな。
*1:企画展の終了と同時にミュージアム自体が閉館した。常設展もなかなかワクワクするいい展示だった