研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

忘れたくない星空

 「忘れられない○○」とかって言いますが、それってなかなかないことですよね。人間は元来大抵のことは忘れます。でも僕は、あの星空を忘れたくない。

 

 先日伊豆に行ってきたとき、午後8時ごろでしょうか、外で花火をやったんです。

 そこは山に囲まれた波打ち際で灯りは殆ど無く、暗かったです。夜の闇そのもの。都会に長く暮らしている僕は少し興奮していました。毎晩、外の「眩しい夜」をカーテンで遮って眠っている僕は、非人口の暗闇をとても嬉しく感じていました。

 で、花火をやる場所まで歩いているとき、友人が言いました。「星がキレイだ」と。

 空を見上げると、ホントにホントにキレイでした。

 星がキレイというよりも、星はもともとキレイなもので、それを見れることはキレイなことだなあと思いました。

 星空を最後に見たのはいつだったかな……と考えましたが思い出せませんでした。こういう閑静で自然に囲まれた場所に行ったのは、何年ぶりだったか……よく分かりませんでした。しかしいずれにせよ、僕はこの星空に感激しました。真っ暗な空に「光のスポット」が点在している光景。これを見られることはなんて素敵なことなんだろうと思いました。

 僕は花火の合間に思いっきり顎を上げて、夜空を観察しました。目を凝らして黒に馴染ませてくると、星の大きさ(?)にも違いがあるようでした。で、その中で特に目立つやつを線で繋ぐと……三角形になりました。あれ、これは? と思いましたが僕は星座には詳しくなく、断定はできませんでした。

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ……?」 と。

 あまりにも僕が空を見上げているばかりに、サークルの先輩から横脇を小突かれたりしました。それも含めて、あの花火の夜は楽しい思い出となりました(小学生並の感想)。

 

 線香花火の火種が落ちて、それが夏の終りを告げました。

 

 伊豆の旅が終わり、東京に戻ってきたのは午後8時ごろでした。地元の空を見上げると、星なんて当然浮かんでいるはずもなく――いや浮かんではいるのだろうけれど視認できるはずもなく――雲がうっすら見えるぐらい明るかったです。

 

 眩しい夜の発光が空を改造している。その景観はなにかを失ってしまっているように感じました。

 

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