はじめてスムースジャズを聞いたのは高校生の頃だったと思う。本校舎と隔絶された汚い部室棟の一角で我々は先輩がiPod touchで流すBrian culbertsonを聴いていた。
- アーティスト: Brian Culbertson
- 出版社/メーカー: Grp Records
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: CD
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その時のアルバムが”Live from the Inside”だった。部室にいる誰もが「いい曲のセンスだ」と感じていた。そこで僕は「これなんていう曲ですか?」と先輩に尋ねた。
その時流れていた曲は”So Good”。ファンクでありかつ煌びやかなピアノが粒となって僕の心を貫き、波動となって僕の脳を揺さぶった。前トラックの”Back in the day”からシームレスにつないでいく演出はまさにスタジオ内ライブだ。
僕が3年生になり先輩が卒業してからの1年間は、僕がiPod touchでBrianの音楽をかけていた。
それから3年後、Brianが新しいアルバムを出した。
Brianのファーストアルバム"Long Night Out”のセルフカバーアルバムだ。デビュー20周年記念ということで作られた本作は深夜の高層ビルをイメージさせる静かな、けれども昼間の喧騒の余韻を感じさせる不思議なサウンドが特徴。すっきりキレイなメロディではない。チルな癒しを与えてくれるということもない。どちらかというと人工物に取り囲まれ、人々から取り残された、寒々しい雰囲気で展開していく。だから僕にとっては「深夜の高層ビル」なのだ。大学に入り、深夜とか早朝、西新宿の高層ビル群をさまよったりすると、このアルバムはぴったりだなと思ったものだ。
あれから4年、今更ながらApple Musicを登録した。ずっとスムースジャズは聞いていたけど、もっと開拓してみようかなと思っている。kool&kleanとかNilsとかgregg karukasとかおすすめのアーティストはいろいろあるのだが、とりあえず第一回目は思い出深いBrian Culbertsonを紹介した。
部室でBrianの楽曲をかけていた先輩とはいまもよく会っている。あの時「これなんていう曲ですか?」と聞いていなければ、この交流もなかったかもしれない。