研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

おおかみこどもを今更見た

細田守監督が手がけた3作目の映画ということで気になって借りてきました。時かけサマーウォーズは好きなので期待していたのですが、結論から言うと、気に入らない映画でした。

「いろいろ詰め込み過ぎたな」というのが第一印象でした。テーマの純度が低いんですよね。

僕がおおかみこどもで感じたのは、「シングルマザーの奮闘記」「おおかみと人間の間で揺れる子どもたちの心理描写」の2つの柱です。ただ、前者を描きたいのであればおおかみのハーフなんて設定はいらなかったと思うし、後者であれば夫の理不尽な死も絶対にいらなかったと思うんですよね。両者とも軽々しく扱えないテーマだと思いますし、それを掛け合わせるのは少し無理があったのかな、と思います。

僕としては、後者のテーマの方を掘り下げてほしかったです。前者のほうは他の作品でもたくさん描かれているでしょうし。実際、雨と雪が成長するに連れて自分のアイデンティティを固めていく様子は、なかなか良いなあと感じました。雨はもともと人間がいいと言っていたのに、ヌシに会っておおかみの道を選択し、雪はもともとおおかみがいいと言っていたのに、友達を傷つけることで人間の道を選択していく。そういう成長が(ちょっと尺足りない気もしますが)見て取れました。

一方、お母さんの花は逞しいっていうか、ちょっと異常な精神をしているとさえ思います。というか、ちょっと子育てリアルな感じがあんまりしないというか、愛の力でなんでも乗り越えるって感じがちょっと……って思いました。この辺については、ネットにごまんと批判が書かれていますね。ファンタジーなのかリアルなのかはっきりしない、と。ほんとそれだと思います。僕はやっぱり、お父さんも生きて、二人で幸せな家庭を築く的な話にして欲しかったなあと、どうしようもない願望を抱いてしまいます。

そう、お父さんなんですけど。ネットで感想を検索しているときに興味深かったのは、「この映画は『子育てに父親は必要ない』と言っているようで、悲しい」というものです。

僕は幼い頃に父を亡くし、父のことはあんまり覚えていないんですけど、もし子育てが本当にこの映画のようなものだとしたらそれは、とても悲しいことだなあと思いました。

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

 

おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]

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