研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

土曜日に日帰り宇都宮旅行【各駅なら片道約千円】

かねてより行ってみたかった宇都宮に行った。実は僕、生まれが栃木県なのだが、育ちは東京であり、宇都宮には行ったことがなかった。で、今度仕事で宇都宮に行くことになったのだが、はじめての宇都宮旅行が仕事というのがなんか嫌だった。「ああ宇都宮ね……知ってる知ってる」みたいな余裕の心持ちで仕事に望みたいのだ。

 

ということで、東京駅から各駅停車のJR宇都宮線に乗りこんだ。当然時間はかなりかかる。2時間半ほどだろうか。スマホにダウンロードした映画を見ていたため退屈ではなかったが、横向きシートにずっと座っているのは疲れた。適宜Googleマップをチェックしていたのだが、宇都宮というのは本当に遠い。各駅停車で行くところではない。実際、Googleで「東京駅から宇都宮駅」と検索すれば、東北新幹線による経路がサジェストされる。出張では経費が下りるが、プライベートの日帰り北関東旅行で片道5000円弱も払いたくない。それで各駅停車で行くことにした。

 

よくわからない駅で一度乗り継ぎをして、宇都宮駅へ。うむ、駅前はそれなりにでかい商業ビルが建っていて、経済が回っているような感じがする。スーパー、本屋、家電量販店などがテナントとして入っているようだ。しかし少し足を伸ばせばデカい駐車場が広がり、その先には山々の稜線がうっすら見える。知ってはいたが、まあ、そんな県である。f:id:liefez:20200922131749j:image
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近くのセブンイレブンエナジードリンクを買い、飲みながら「東武宇都宮駅」のほうまで歩く。マップを見る限り、おそらく宇都宮はJRよりも東武経済圏のほうが活発だと思われた。いわゆる宇都宮餃子を提供する店も大方はそちらのほうに構えている。駅が近づくにつれ、タワマンやオシャレな歯科医などが見えてきて、経済的に潤った街がそこにあるという予感がしてくる。

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JR宇都宮駅から少し歩いたところに流れている川・田川 

 

で、歩いていくとやはりそこにはいい感じのアーケードがあった。建物の二階にデカい液晶パネル広告があって、「お肌にはコレ一本!」的なCMの音を放っている。こんな広告枠が売れるぐらい人通りが多いということだろう、たぶん。実際アーケードに入ると老若男女が行き来していてずいぶんな活気だった。4連休初日というのもあるのかもしれない。

 

 

さて、さっそく餃子を食べよう。ドンキホーテの地下一階には「来らっせ(きらっせ)」という地元の餃子有名店が出店するフードコートみたいな空間があり、そこにいくと「現在90分待ちです」と液晶表示。アホか。ありえないので、空いている餃子屋を探すのだが、全然ない。ほんとうにどこの餃子屋も混んでいるのだ。さすがとしか言いようがない。中華料理のついでに、居酒屋のついでに餃子も出してますよみたいな店もあるのだが、そんなところに行って「宇都宮餃子堪能してきましたよ、ウヒヒ」なんて言っていいのだろうか。

 

どうせ諦めるなら全然関係ないものを食べたい。とはいえ旅行先で「松屋」や「なか卯」ではあまりに悲しい。ということで、たいへんリーズナブルな価格の定食屋に入って唐揚げ定食を頼んだ。唐揚げ5個にご飯とスープがセルフサービスの食べ放題で600円。スープが妙にうまい。ガラガラの店内でスマホをいじりながら言葉少なな会話を交わす制服女子高生2名もこのスープを何度もお代わりしていた。また卓上にはミルつきの「ヒマラヤソルト」もあり、こいつを唐揚げの上でゴリゴリと挽いてやるとたいへん美味で驚嘆した。これ、成城石井とかで売ってるかな。この定食屋で飯にありつくまで宇都宮周辺を2時間ぐらい歩き回ったので、なんの特徴もない唐揚げがたいへん美味しかった。

 

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店を出た後はアーケード前にあるナントカ神社をサラッと見て周り、近くにある「餃子みんみん」「正嗣」などの超人気店を擁するナントカ通りを見て周り、再び東武宇都宮駅へ引き返す。スイカを使い、「西川田駅」へ。なにもない田舎だ。歩道はあるが、人が歩いて移動するようなところではない。民家はあるが、どの家にも当然車がある。デカい車道に出ると車がビュンビュン走っている。その横の小さな歩道を歩いていく。目的地はロードサイドにある「ステーキ宮」だ。

 

ステーキ宮は和民などを経営するコロワイド系列のファミレスだ。栃木を中心に出店しているローカルレストランゆえ知ってる人はあまりいないが、実は羽田空港にも店がある。私もステーキ宮の存在は知らなかった。しかし宇都宮出身の哲学者・千葉雅也が「宇都宮といえば餃子ではなくステーキ宮である」ということを言っていて、そんなら宇都宮に行った暁にはステーキ宮に行かねばと思っていた。だが問題は、栃木では車移動が前提になっているということである。ステーキ宮も当然、どの店舗も駅から離れたロードサイドに位置しており、ペーパードライバーの人間が行くのは厳しい。しかし中でも、ステーキ宮西川田店は、東武宇都宮線西川田駅から頑張れば行けなくはないぐらいの距離に位置していたのだった。

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東武宇都宮線西川田駅

 

で、歩いて行った。まあ道はあるので、それをトコトコ歩いていけばいいだけだ。雨が降ったりしたが、傘はないので無視して歩く。たぶん30分ぐらいでステーキ宮に着いた。

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4人がけのテーブル席がいくつもある感じ……田舎のファミレス。宮ステーキ140gにパンとサラダバー。サラダバーはめちゃくちゃ充実しており、レタスやニンジンなど普通の野菜のほか、パクチーやバジルパスタなども入っていた。たらふくよそって食べているとステーキ登場。「宮のたれをおかけしてよろしいですか?」「はい」。大根おろしベースの甘いたれで美味しかった。肉そのものの味はあまり印象にない。

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iDで支払いをして、駅に帰る。お腹もいっぱいになり、音楽を聴きながらルンルンで歩いた。雨は上がっていた。空は日が沈む直前の美しいライトブルーだった。
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西川田駅からは、宇都宮のチケットショップで購入した東武鉄道株主乗車券(720円)を使用。これで北千住駅まで乗った。途中、「おもちゃのまち」とかいう駅があったりして面白かった。そんな感じの旅だった。歩き回ったので疲れた。せっかく来たのに宇都宮餃子を食べられなかったのは心残りではある。だがよく考えたら、そもそも僕は餃子が好きだと思ったことが一度もない。そんなに餃子って「ごちそう」か? 作る人によって味が変わるものか?

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西川田駅に戻る道中の景色。畑? が広がっている

 

まあ、とはいえ外食で餃子をあんまり食べてないがゆえにそう感じているだけというのも事実。宇都宮は遠いので、まずは都内でおいしいとされる餃子を食べてみることにしよう。宇都宮に遠征するのはそれからでも遅くはあるまい。