研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

【社畜旅行】東京22時発「寝台特急サンライズ」で朝5時半に姫路着→即のぞみで東京に出社(往復3.5万円)

2020年12月、仕事で忙しく、コロナでなかなか遊ぶこともできず、悶々としながら日々を送っていた時のことだ。

いつもどおり仕事をしていた木曜日、ついに発狂した。どこか遠くに行きたい。このクソったれな東京のコンクリートジャングルから抜け出したい。

そういうわけで、当日発の寝台特急サンライズをスマホで予約した。

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12月3日の夜22時、俺は東京駅に来ていた。駅ナカの「駅弁屋・祭」で弁当とビールを買いこんで。f:id:liefez:20210102110157j:image

出雲市行き。だが出雲市まで行くのはまずい。明日は金曜日、仕事がある。出雲市に到着するのは朝9時。そこから朝のうちに東京まで戻るのは困難、というか不可能だ。だから途中の姫路まで行く。

東京駅のなかで急きょ手ぬぐいも買った。
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なぜかというと、シャワーを浴びるからだ。f:id:liefez:20210102110306j:image

寝台特急サンライズにはシャワールームがある。販売機で330円のシャワーカードを購入すれば、社内でシャワーを浴びることができるのだ。ボディソープとシャンプーは備えられているが、タオルなどはないので駅で手ぬぐいを調達したというわけだ。

こういうカード。
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で、個室に入る。今回はB寝台禁煙個室「ソロ」の上段だ。
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シャワー後に撮影。荷物も置けるし手ぬぐいも干せるしジャケットも掛けられる。

車体下部にモーターが搭載されている車両に、無理やり2段個室を設えたのが「ソロ」。ほとんどハシゴみたいな急こう配の階段がある。狭い。
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サンライズのいいところは、個室内の電気を消せることだ。それにより、外の夜景がくっきりと見える。
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ふつうの電車では車内が明るいから、社内の光を窓ガラスが反射して鏡のようになってしまう。だから東京を走る電車でも車窓の夜景を楽しむことができない。しかしサンライズは個室だから車内の灯りを落とすことができる。ゆえに夜景を楽しむことができる。

僕はサンライズのよさはこれだと思っている。だからこそ東京駅から乗るのがいい。次の停車駅である横浜までの大都会ぶりを大パノラマで楽しめる。

 

サンライズのスタンダードは「シングル」という部屋で、今回の「ソロ」はシングルより1100円安い。違いは天井の高さ、モーターの有無に起因する騒音の多寡、テーブルの広さなどがあるが、ソロにもいい点がある。ベッドの頭側にコンセントがあるのだ。
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シングルは足元側にコンセントがある。だからベッドに寝そべりながらスマホを充電しながらポチポチするということができない。これは地味にソロの良さだと思う。

晩酌開始。
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21時過ぎの駅弁屋は、人気の銘柄は大体売り切れている。だからあんまり望みのものは買えない。これも何弁当を買ったのか覚えてない。
多摩川を渡る。
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並走する電車を見ながらビールを飲む優雅さ。
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朝も早いので、カーテンを下ろして早々に眠った。ソロはシングルとベッドの幅は同じらしいのだが、以前シングルに乗った時と比べて狭苦しく感じた。騒音もわりとあったし、揺れも感じてなかなか眠れなかった。

カーテンを開けると月明かりがまぶしかった。

夜を疾走する。
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5時20分ごろ、降りる支度をする。あっという間だった。全然眠れてない。
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で、金曜日の5時25分、兵庫県の姫路駅で降りた。

冬の朝、姫路駅周辺を徘徊

5時半の姫路駅は人が全然いなかった。まあそうか。広い改札口もがらんとしていた。窓口の駅員さんだけが生命の律動を有して、ホールのような改札口を監督していた。眠い目には明るい蛍光灯の光が瞳孔をキュッとすぼめさせるようで痛かった。

f:id:liefez:20210102110253j:imageオレンジ色の光が温かみがあっていい雰囲気だが、iPhoneが色温度を調整してこうなっただけで、実際には普通の白色だったような気もする。

12月の朝。コートは着ない派(当時)だったので、上着は厚手のジャケットだけ。寒かった。

駅から姫路城に向かう大通りをちょっと歩いたところ。横断歩道から駅のほうを撮っている。

f:id:liefez:20210102110226j:image姫路駅といえば駅から見える姫路駅がランドマークなんだよな。なのにその写真を撮ってない。記憶には残っている。夜、というか朝でもライトアップされていて暗闇にうっすら見えていた……ような気がする。でも写真を撮ってないということは大した景色でもなかったんだろう。
何かの川? が流れている低地を見下ろす吹き抜け。
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たしか、欄干から下を覗いたら、ダウンを着込んだカップルがいちゃついてた。朝5時半。いいな、楽しそうだな、と思った。2人だけの世界があった。

商店街みたいなのもあった。自転車にまたがった若い男が光に吸い込まれていくようにして走って行った。
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「日本酒のふるさと はりま」……

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調べたら、兵庫は但馬、丹波、播磨、摂津、淡路の5つのエリアにわかれていて(どれも聞いたことはある)、播磨は明石市や姫路市などを含むけっこう広いエリアのことらしい。今日の「へえ~そうなんだ」知識。

で、姫路駅に戻った。6時発ののぞみ82号東京行きに乗る。
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姫路の滞在期間はわずか30分。眠い目をこすりながら近くを歩いた。本当に駅から見える範囲だけだったが、冬の朝のしんとした空気を吸い込んで体を換気できたような気がした。
のぞみが到着。
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どうせ乗る人いないでしょと思い自由席にした。目論見通りガラガラだった。端っこの席に座ったとたん、疲労が肩から腰に掛けてどっしりと浸透していく感じがした。疲れた……。旅情を味わう暇もなく、泥のように眠った。
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ここから先のことは覚えていない。たぶん8時50分ごろに品川に着き、そのまま出社したんだろう。きっと仕事もままならなかったはずだ。疲労で。まさか昨日の夜から朝にかけて姫路に行って、そのまま新幹線で東京に戻ってきただなんて社内の誰も思っていなかったに違いない。

往復で約3.5万円。それだけお金をかけた意味があったのか、いまでもわからない。